2017年10月28日土曜日

YKKの創業者・吉田忠雄『善の巡環』


 日本を代表する巨大企業・YKKの創業者である吉田忠雄は富山県魚津市の生まれ。
 貧しい家に生まれ、満足に教育を受けられなかった人ですが、尋常小学校の時に読んだ伝記『カーネギー伝』に大きな衝撃を受けます。
 カーネギーとは世界の鉄鋼王と言われる企業家ですが、貧しい家庭に育ったため公的な教育はあまり受けておらず、それでも地道に努力して製鉄工場を設立し、大成功を収めた人物です。
 カーネギーの成功の秘訣は「他人の利益をはからなければ、自らも栄えない」という教訓を生涯懸けて実践したからだ、と語っています。

YKK 吉田忠雄

 この言葉が、吉田少年の胸に深く刻まれ、やがて『善の巡環』という吉田独自の経営理念が生まれます。
 少年時代の読書体験が、これほど劇的に、人生を左右するものでしょうか。
 まあ、私も小学校の時に出会った『ドラえもん』に衝撃を受けて、やがて絵を描く仕事になったわけですが、あまりにレベルの違いすぎる話ですね。
 それはともかく、子供の頃の「物語との出会い」は極めて大切なことだと思います。
 逆に言えば、親として、大人として、子供たちにどれだけ有意義な物語を提供できるか、それが未来の世界を築く上でどれほど大事なことなのか、知らされますよね。

2017年10月27日金曜日

豊臣秀吉拝領の乙御前釜

豊臣秀吉と乙御前釜


 秀吉が信長から「乙御前の釜」を拝領した話は『信長公記」にも記される歴史的事実。
NHK大河ドラマでも「おんな太閤記」や「軍師官兵衛」でも描かれたシーンです。

「おんな太閤記」では信長(藤岡弘)から直接秀吉(西田敏行)が受け取っていましたが、実際は信長留守中の話でした。
 そこは「軍師官兵衛」では留守中のこととしっかり描かれ、乙御前釜を拝領した秀吉(竹中直人)が大変感激していましたね。
 ただ、実際に拝領された釜は現在どうなっているかは分かりません。

『マンガ 歴史人物に学ぶ 大人になるまでに身につけたい大切な心』第5巻に収録された『乙御前釜』の写真は、京都の大西清右衛門美術館に掲載許可をもらったもので、江戸時代初期に作られたものですので、実際に秀吉が拝領した釜に近い形であろうと思います。