2018年3月14日水曜日

『歎異抄をひらく』が映画になる……さて舞台は現代?異世界?料理界?


歎異抄をひらく 映画化決定
歎異抄をひらく』(1万年堂出版)に「映画化決定」の帯がついて、いま書店に並んでいます。
 映画といっても、実写なのかアニメなのか、どちらなのかこれでは分かりませんが、そう、アニメ映画『歎異抄をひらく』の制作が進んでいるのです。

歎異抄』とは、浄土真宗の開祖・親鸞聖人の語録として弟子の唯円が記したと伝えられる古典です。
 有名な「悪人正機」を記した書として広く読まれ、日本だけではなく海外でもファンの多い本であり、大学入学試験でも倫理や歴史などの科目でも度々取り上げられることで知られていますよね……って、言うものの、最近は昔ほどの知名度はないのかもしれません。 「歎異抄って知ってる?」と若い人に聞いたら「えーと、食べ物ですか?」と答えられてしまいました。「たんにしょー?何それおいしいの?」という訳です。なんでも「歎異抄」の「抄」が「炒」に見えたそうで、中華料理かなにかと思ったようです。
 別の人は「何のショーですか?」とまあ歌謡ショーか何かと思ったのか、これが現状のようですね。

 ともあれ、その『歎異抄』を分かりやすく解説した『歎異抄をひらく』が映画になるといっても、では一体どんな映画になるのか、正直想像がつかない人も多いだろうと思います。

 1万年堂出版の書籍として『なぜ生きる』がありますが、『なぜ生きる2』と合わせてシリーズ100万部突破記念ということでアニメ映画化され平成28年に全国公開されています。
 題名は『なぜ生きる 蓮如上人と吉崎炎上』で、特に蓮如上人を里見浩太朗が演じたということで話題になり、一部の映画館では29週を超えるロングラン上映となりました。
 正直、オタクと言われる人々が飛びつくようなアニメではなかったので、さてさて公開してどうなることかと思いましたが、大人というか年配の方の来館が意外にも多く、その様子は映画館側も、また制作プロデュース側も驚きの光景だったようです。
 兄貴と言われる小西克幸さんも演じていることから、若い女の子も結構な人数が観たようで。

 この『なぜ生きる 蓮如上人と吉崎炎上』の映画も、原作が『なぜ生きる』という生きる目的の解説本になっているので、正直どんな内容の映画になるのか、想像できない人が多かったことと思います。
『なぜ生きる』のテーマを踏まえつつ、実際に描かれている蓮如上人と吉崎御坊の物語は『なぜ生きる2』にも記載されているので、この書物の映画化といっても間違いはありません。

 それを思えば『歎異抄をひらく』の映画も、「歎異抄」の精神をふまえつつ、現代社会を場面設定にしてもいい訳で。親鸞聖人の時代で描かねばならない理由というのはありませんよね。いや、むしろその方がいいのかも。

 そもそも「歎異抄」とは、その名を「異なるを歎く」と書くように、唯円が親鸞聖人の教えと異なる言説が広まったことを嘆いて書かれたもののですが、それはむしろ未来へのメッセージだったとして、現代社会を舞台にしてもいいのかもしれません。
 いや、最近はやりの「異世界」がいいのかも(笑)。

 さてさて、実際の映画はどうなることか。原作本となる『歎異抄をひらく』を読んで、そんな妄想をめぐらす夜もいいもんですよ。