日本を代表する巨大企業・YKKの創業者である吉田忠雄は富山県魚津市の生まれ。
貧しい家に生まれ、満足に教育を受けられなかった人ですが、尋常小学校の時に読んだ伝記『カーネギー伝』に大きな衝撃を受けます。
カーネギーとは世界の鉄鋼王と言われる企業家ですが、貧しい家庭に育ったため公的な教育はあまり受けておらず、それでも地道に努力して製鉄工場を設立し、大成功を収めた人物です。
カーネギーの成功の秘訣は「他人の利益をはからなければ、自らも栄えない」という教訓を生涯懸けて実践したからだ、と語っています。
この言葉が、吉田少年の胸に深く刻まれ、やがて『善の巡環』という吉田独自の経営理念が生まれます。
少年時代の読書体験が、これほど劇的に、人生を左右するものでしょうか。
まあ、私も小学校の時に出会った『ドラえもん』に衝撃を受けて、やがて絵を描く仕事になったわけですが、あまりにレベルの違いすぎる話ですね。
それはともかく、子供の頃の「物語との出会い」は極めて大切なことだと思います。
逆に言えば、親として、大人として、子供たちにどれだけ有意義な物語を提供できるか、それが未来の世界を築く上でどれほど大事なことなのか、知らされますよね。