上越から北陸自動車道を北上、その終点の新潟西インターとJR新潟駅の中間に位置する湖が、鳥屋野潟です。
この湖のほとりに、枝葉が下へ向かって逆さにのびる特殊な竹が生えています。これが、親鸞聖人の越後七不思議の一つ、「逆さ竹」です。
逆さ竹の伝承によりますと、
「ある日、親鸞聖人が、手にしておられた竹の杖を大地に差され、『私の伝えている教えが真実ならば、この枯れた竹から根が生じ大きく茂るであろう』と仰せになった。すると、まもなく、その竹が大きく育ち、大竹林を形成した。
しかも、不思議なことに、竹の枝が枝垂れ柳のように逆さに生えている。此れは、聖人が竹杖を大地に差される時、根元の方を上にされたからである」
とのことです。
実際、国の天然記念物に指定されているのですが、最近はどうもなかなか逆さに枝を伸ばす竹が見つからないとも聞いています。
おそらく突然変異なのでしょう。まさか逆さに指した竹が本当に根付くとは思えませんし、浄土真宗はそのような奇跡を是とする教えでもありませんが、その伝承に込められた心には、実は深いものがあるのです。
やはり、親鸞聖人にまつわる出来事として語り継がれるには、それ相当の意味がありました。
「浄土の法義を示したまうといえども、疑謗の輩つねに多く、信従の人ははなはだ稀なりければ、聖人深くこれを歎じて、『この里に親を亡くした子はなきか、御法の風になびく人なし』と詠じたまい、すなわち持するところの竹杖を地にさし、願じていわく、『わが弘むるところの法、もし仏意にかなわば、この枯竹、必ずまさに根芽を生ずべし』と。すでにしてその枯竹、果然として根を生じ芽を発す」(竹林御旧蹟鳥屋野院略縁起)
なるほど、逆さに延びる枝は、親鸞聖人の説かれる教えになかなか聞こうとしない民の姿をたとえたのでしょう。
冷たい扱いを受けられながらも、それでも「この里に親を看取った人がいるだろう、そのことから世の無常を観じたことだろう、どうかそれを縁に、浄土真宗の教えを聞いてもらいたい」
その布教のご苦労を、後世に伝える為に、逆さ竹を縁としたのだろうと、私は思います。
偶然、立ち寄らせていただきましたが、越後の七不思議(1)の続編はあるのでしょうか?
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