2013年5月29日水曜日

秀吉の薪奉行 どんな仕事も軽視することなく

 大河ドラマで視聴率を稼ぎたかったら『太閤記』にすればいい、と言われるとか言われないとか。
 さすがに緒形拳が秀吉を演じた太閤記は知りませんが、私が最初に見たNHK大河ドラマは『おんな太閤記』。……小学生の時だったと思いますが、私にとって秀吉と言えば西田敏行さんのイメージなんですけどね。

 それはさておき、その豊臣秀吉・木下藤吉郎は与えられた職を全力でこなした働き者であったというお話を一つ。

 「秀吉の薪奉行」

秀吉の薪奉行


 小瀬甫庵の『太閤記』に出てくる話で、司馬遼太郎も『新史太閤記』で描いている話です。

 ある時、秀吉こと木下藤吉郎が、主君・織田信長から「薪奉行」を突然命じられます。「鍋奉行」じゃないですよ。
 尾張清洲城で使われる薪を管理する役なのですが、信長は「お前のやりたいように1年間やってみろ」と秀吉に一切を任せます。
 すると秀吉は早速仕事にとりかかり、自ら火を炊き、多くの囲炉裏を調査して一ヶ月の使用量を計算し、うまくやれば従来の三分の一の量で済むことを弾き出します。

 その通りにうまくやりくりする秀吉でしたが、信長は「お前を薪奉行に命じたのは、足の速い馬に塩を運ぶ車を引かせたようなものだった。優れた人材をつまらぬ仕事に用いたことよ」と言って、別の奉行を命じたとのことです。

 『太閤記』では続けて、「誰しも自分の才能に比べて低い仕事を与えられると、主人を恨み、それが顔に出て、出世の妨げになる」とあります。
 秀吉は、どんな仕事を与えられても、腐ることなく、常に全力を尽くし勤めたからこそ、あれほどの出世を遂げることができたのでしょう。


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