2013年8月26日月曜日

三江線の橋脚流失直前の便に乗っていたという話

 2013年8月24日、島根県西部を襲った集中豪雨で各地で甚大な被害が発生し、故郷の邑南町では川に流された男性が死亡する事故も起きました。

 当日、たまたま邑南町に帰省していた私は、朝4時の防災無線に起こされた訳ですが、早朝周囲を見回りに行った父が「山根原(隣の集落)で重五郎さんが行方不明になっている」と、早くから騒ぎになっていました。
 こういうニュースを聞くと、「なんでそんな時に田んぼに見回りに行くのか」と誰もが思うのですが、父が見回りに行ったように、何というのでしょうか、農家の宿命みたいなものがあると感じてしまいました。

 そして同じ頃、川本町因原では、JR三江線・鉄橋の橋脚が濁流にのまれて流失してしまいました。

 
 大変ショッキングな光景ですが、実はこの前日、三次から江津に向かうJR三江線最終列車にたまたま乗車していました。
 一晩でこの惨事とは、本当にゾッとします。

 いつもなら、広島から高速バスで瑞穂インターへ帰るところを、たまにはのんびりルートを取るかと選んだ8月23日の三江線。
 三次発16時56分発・浜原行きに乗った時は、既に雨が降り始めていました。

三江線 口羽駅
口羽駅で交換があります
 始発では車内は15人程度の乗客。想像していたより賑やかでした。
 当然ながら次第に乗客は減って行き、特に作木口駅でただ一人降りた女子高校生がトボトボと対岸に向かって歩く姿が何となく忘れられませんが、それはともかく、石見都賀を過ぎると、私の他に乗り鉄さんらしき方2名となりました。
 ちなみに、それまで降りる人はあっても、乗る人はありませんでした。

三江線 浜原駅
浜原駅
 18時30分、浜原駅到着。ここに来るのは小学生の時に浜原ダムへ釣りに来た時以来じゃないですかね。
 この時から、かなり雨脚が強まってきました。

粕淵駅停車中に……
 浜原で江津行きに乗り換えて以降、運転席から無線の声がしきりに聞こえてきました。
 そして粕淵駅停車中に、運転士の携帯電話が鳴ります。
 「……繰り返します、指令番号○○、江津ー浜原間は大雨の為時速30キロ以下の徐行運転をし……」
 乗客3人しかいない車内に聞こえまくりです。
 徐行でもいい、とりあえず走ってくれるなら……というか、このあたりは、元々30キロぐらいの低速運転区間じゃないかな?

三江線 石見川本駅
石見川本駅に到着
 さて石見川本駅で足止めされました。4、50分は動けないとのこと。
 つまり、江津発の列車が16分遅れて発車し、更に徐行運転しているので、石見川本到着が相当遅れる予定であり、江津ー石見川本間には交換できる駅がないので、とにかく待つしか無い。
 因原で降りる予定だった私は、急遽ここで降りる事にしました。
 因原駅に迎えに来ていた父を急遽川本へ呼び寄せたのですが、「もし浜原で止まっていたら、さすがにそこまでは迎えに行かなかったからな」と愚痴を言われてしまいました。

 で、他の鉄さん2名は、一人は浜田へ、一人は出雲市へ行く予定なのだとか。
 「もし江津で接続できなくなれば、代行タクシーを出しますから、間違いなく出雲市へお送りします」と運転士の説明。
 「えっ、お金はどうなるのでしょう?」
 「もちろん、追加では頂きませんから大丈夫です」
 ……JRも大変ですね。予測できない自然災害で、予期せぬお金が飛んで行く交通機関。やっていけるのだろうか、外国ではこんなケースどうなるんだろう、そんなことを思いつつ……

三江線 橋脚流失前日の勇姿
さようなら、江津行き列車よ
 駅を後にする訳ですが、この後列車は江津に向かったようですが、橋脚流失の鉄橋を最後に渡った列車に違いありません。
 当然ながら、24日以降は運休で、復旧のめども立たないようで、この写真が「最後の勇姿」とならないことを願っております。


 ついでに、石見川本駅について少し紹介しておきます。

石見川本駅 周辺飲食店

 9時57分三次発の列車で江津に向かうと、石見川本で1時間半以上待たされることになります。
 それで乗り鉄さんは川本の町をブラブラ散歩するのですが、そんな人向けに、駅周辺の飲食店地図が掲示されています。
 なかなか参考になります。もっと掘り下げて、グルメパンフにでもすれば更に面白い事になるかも。

コインロッカー
 また、散歩する人用に、大型のコインロッカーが用意されています。100円ですが、使用後にお金が戻ってくる親切設計。
 至れり尽くせりの石見川本駅でした。

三江線 ウォーキングマップ

 なお、駅には「ウォーキングマップ」などパンフレットが置いてあります。
 「石見みえ」なる萌えキャラが案内してくれますよ。